実習体験記
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令和元年度 食料生産実習体験記#1
副専攻では、9月2日~4日にかけて 食料生産実習を実施しました。
食料生産実習は 神戸大学大学院農学研究科附属 食資源教育研究センター にて実施する
2泊3日の牧場実習です!
この実習の体験記を植物バイオサイエンス課程の2年生が執筆してくれました!
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目次
⑴「神戸大学大学院農学研究科附属食資源教育研究センター」とは?
⑵実習の流れ
⑶実習を経て
⑴「神戸大学大学院農学研究科附属食資源教育研究センター」とは?
中百舌鳥キャンパスからバスに揺られて2時間ほど。兵庫県加西市鶉野町にある神戸大学が所有する総合農場です。総面積は約40ha。およそUSJのパーク面積と同じくらいです。
作物系・果樹系・畜産系3つの系統がそれぞれ関わりあう、例えば農業に使う土壌に牛糞を用いる、といった形で運営されています。
⑵実習の流れ
2泊3日の実習でそもそもどんなことをしたのか、それをぱぱっとまとめてみました。
午前 | 午後 | |
1日目 | 到着・牛舎案内・簡単な講義 | ウシのブラッシング・散歩・妊娠鑑定・給餌 |
2日目 | ウシの給餌・鼻紋採取 | トラクターの運転・耕耘・ウシの給餌 |
3日目 | ウシの給餌・体重測定 | 施設内散策 |
施設にはニワトリ等の家畜もいますが、今回の実習でお近づきになるのはウシのみです。さて、それでは具体的な実習内容について、ご紹介していきます。
1日目
実習は給餌に始まり給餌に終わる…。今回の実習では、3日間同じ牛舎の給餌をしました。その餌の量は全部合わせると1食20キロほど。重さを測りせっせとバケツで運んでいきます。ウシは社会性の動物で、群れの中に明確な順位が存在します。給餌のたびに観察していれば、食事の順番といった彼らの行動の法則性を見つけられる、かもしれません。
家畜たるウシの人生(牛生?)には、不快感を伴うイベントも多くあります。そんな中で彼らの人間への悪感情を払しょくする手段の1つがブラッシングです。回し蹴りを食らわないよう注意しながら整えたウシの毛はかなり柔らか。何より驚いたのは晩夏にも関わらずウシが臭くなかったことです。なお、ブラッシングには他にウシの健康状態を確認するという面もあるそうです。
続いて妊娠鑑定。使うのはエコーですが、ウシの体つきでは外から超音波をあてて子宮内を映すのは無理があります。ではどうするのか。ずばり、お尻から腕を突っ込むのです。専用の肩まである手袋をはめたら、まずは直腸の糞をかき出し、それから検査機器を手に再び突っ込む。殆どの人は一生縁のない体験です。
2日目
ところで、ウシの個体識別がどうなされているか、ご存知でしょうか?大抵は耳についたタグで事足りるのですが、実は鼻紋でも識別可能です。ウシの鼻紋は人の指紋と同じく、成長とともに大きさは変われど模様は一生変わりません。
鼻紋の採取法はなかなか大変です。1チーム3人、1人がウシを抑え、1人が湿った鼻を拭い、1人がローラーで鼻にインクを塗って専用の紙へスタンプする。ウシは動く上、すぐに鼻を舐め直してしまうため、何度かやり直すことになりました。採取の後は、自分がとった鼻紋をもとにウシを当てるゲームを行いました。下の写真は2度のやり直しの末、なんとか採取した「あおば」という子の鼻紋なのですが、お分かりになるでしょうか…。
食料生産実習ですので、畜産以外に農作業機械に関する実習もありました。それがトラクターの運転です。まずは基本操作の練習、続いて耕耘という流れですが、大半の参加者が自動車免許を持っていない中、20分程度の練習である程度操作できるようになりました。
3日目
肉用牛として育てられるウシの世話において、成長度合いもまた気を配ることの1つです。ということで、3日目はウシの体重測定を行いました。
基本4頭で構成される1つの房ごとに、まずはウシを隔離し、1頭ずつ体重計にのせてその重さをはかっていきます。この体重計は前後に扉がある檻のような形で、まずは後方の扉のみ開けて中へウシを誘導、閉じ込めた状態で体重を測定し、終われば前の扉を開いて外へ出していきます。一見簡単そうですが、狭い通路の中ウシの巨体を誘導、体重計に乗ってくれない場合は後ろから押し込む作業は、なかなかの恐怖心を伴いました。加えて誘導時には結構な疾走をみせます。駆け抜けていく彼らの重々しい蹄の音は、かなりの迫力でした。
⑶実習を経て
ウシの給餌、ブラッシングに始まるこの施設での体験は、教科書を読んだだけでは決して学べないものです。その全てを書くことは出来ませんでしたが音、におい、手触り、5感すべてを使っての学習という、大変有意義な3日間となりました。
最後に、これから「食生産科学副専攻」をとることをご検討中の学生の方々。40haの外側にあるのは市街地ではなく山、見える範囲で一番高い人工物はサイロといった場所です。この実習に参加される際は、どうぞ余裕をもっておやつ用の甘味を用意されますよう…。